守る人


あの頃の僕は弱かった





あの頃の僕は弱かった。


隣にはいつも守ってくれる君がいた。



「だからお前はダメなんだよ」
  


そう罵声を僕に浴びせながらも、僕の隣に寄り添ってくれていた。
  


そんな君が今、僕の目の前で蹴られ殴られ、そしてそれを何もせずにただ恐怖に足を震わせ立ち尽くして見つめている僕がいた。
  


いつもの帰り道だった。いつもの帰り道、いつものように僕と君が一緒に帰っていると僕をいつもいじめようとする男子クラスメイトが僕らに近寄ってくる。




彼は自分の他に見知らぬ制服を来た男子生徒を三人連れていた。
  


君はいつものように、僕をそいつらから守ろうとそいつらと喧嘩を始めた。君は空手を習っていたから、いつもクラスメイトの男子生徒が複数束になってかかってきても負かしていたけど、その日は違って君は見知らぬ男子生徒が君のお腹の辺りを殴ると君はその場にダンゴムシのように蹲ってしまった。
  


その後はやられたい放題。
  





いろんなところを殴られ蹴られ、着ている制服は茶色く汚れ、顔も血と痣で赤く染まっていた。
 



 「おい、顔は止めろよな。コイツ結構可愛いしあとでヤロうぜ」
  




 いじめる男子生徒がそう言っているのが聴こえてきた。



それから、四人は君を羽交い絞めにして無理やり立たせて、お腹ばかりを殴った。



君は殴られる度に弱々しい呻き声を発しながら顔を歪める。



そして君は何発か殴られた後に嘔吐した。
   



男たちはそんな君を「汚ねぇ」と言って思わず離す。君は涙を浮かべながらむせ返っていた。
 


 「よし。じゃあ、そろそろヤロうぜ」
  




 四人はズボンのベルトを解いてそれを降ろすと、下半身はガラパンだけになった。僕はその後何が行われたのか見ていない。




なぜならその前に逃げ出したから。でも、何が行われたかはわかる。だから逃げた。
   




それから君は僕の目の前から姿を消し、僕は一人ぼっちになった。





僕は最低な男だ。