ほろ苦い夏の思い出




こういうことって、あるかもしれませんね……世の中、いろんな人がいますから……




夕方。学校からの帰り道。いつものように、車両の真名からへんでつり革に友達と話しながら電車に乗り家路に向かっていた。
 



その日は、小腹がすいたから電車に乗る前に買ったクレープをほお張りながら。
 




私が降りる駅の二コ前の駅を電車が停車しようと減速時だった。私はクレープを全て食べ終えて、食べたことで少し膨らんだお腹を摩りながら、お腹に溜まるねなどと友達と話を咲かせていた。
 



すると、私の立っている目の前に座っていた20代くらいの男性が立ち上がる。私は偶然にもその人と目が合う。その人は私の方を怪訝そうな顔で睨み付けて来る。
 




その男性は眉毛にはそり込みがあり、腕には英語文字らしきのタトゥーが彫ってあったからか、私は直感的に嫌な予感がしてその人と目を逸らした。その時だった。
 



ドプッという音がして、自分のお腹から血の気が引くような感覚に襲われ遅れて激痛が走る。




「うう!」



 私はお腹を抑えて、その場に蹲る。
 



痛い。苦しい。何度もむせ返す。




 周りにいた友達が大丈夫? と私に言ってくれているのがかすかに聴こえた気したが、痛みで息もままならない私にはそんな余裕はなかった。
 




咽返す中で、咽喉の奥の方から生暖かい液体が溜まっているのを感じる。その液体はさっき食べたクレープの甘い味に酸っぱい味が混ざりこんだ味がした。




「う!」
 


電車が止まったらしく、人々が降りる音とホームのアナウンスの音が聴こえてくる。
 



それと同時に私は一気に殴られたお腹から液体が口に押し出され、それが口から吐き出される。悲鳴みたいなのが聴こえた。
 



吐しゃ物で私の制服と床が少し汚れ、周囲にはその悪臭が漂った。
 



痛かった。怖かった。そして恥ずかしかった。そんな夏休みに入る前の高1の思い出。